ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル(著者:照屋華子, 岡田恵子)

1. 相手に伝えるということ

    (1) 相手に伝えるとは、以下のメッセージの3要素を満たすこと
        ① 課題:答えるべきテーマが明確であること
        ② 答え:課題に対する必要な答えが満たされていること
        ③ 相手に期待する反応:コミュニケーション後に相手にどのように反応してもらいたいか明確であること

    (2) 相手に伝える前に、「課題」と「相手に期待する反応」が何か確認する

    (3) ビジネスにおける「相手に期待する反応」とは
        ① 理解してもらう
        ② フィードバックをもらう
        ③ 行動してもらう

    (4) 答えの要素は「結論」、「根拠」、「方法」の3つで、ありがちな落とし穴は以下の通り。
        ① 結論が通じない
            ・ 課題の要約であって、自分の言いたいことの要約でない
            ・ 「状況に応じて」、「場合によって」は相手の理解が曖昧になる原因

        ② 根拠が通じない
            ・「Aが必要だ。なぜならAがないからだ。」は根拠ではない。
            ・事実か判断かが曖昧である。
            ・前提条件や半案基準が不明瞭である。

        ③ 方法が通じない
            ・ 方法が具体的でない → 自分が言われたときに実際に実行できるかをチェックする

    (5) 説得力のない答え(論理的でない答え)は、①「重複・漏れ・ずれ」、②「飛び」

 

2. 論理的に思考を整理する技術

    (1) 話の「重複・漏れ・ずれ」をなくす技術:MECE
        MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)
ある事柄を重なりなく、しかも漏れのない部分の集合体として捉えること

        MECE種類
            ・年齢や性別のように完全に分解できるもの
            フレームワーク(マーケティングの4P等)

        ③ グルーピングでMECEを補助する
            手持ちの情報を整理するとき、MECEを意識してグルーピングをする。
            ただし、単なる仕分けにならないように、自分の結論に役立つMECEの切り口になるようにグルーピングする。


    (2) 話の「飛び」をなくす技術:So What/ Why So
        ① So What
            手持ちの情報や材料の中から「結局どういうことなのか?」を抽出する作業
        ② Why So
            「なぜそのようなことが言えるのか」、「具体的にはどういうことか」と検証・確認する作業


3. 論理的に構成する技術
    (1) 論理の基本構造
        ① 結論が課題の答えになっている
        ② 結論を頂点に、縦方向に「So What/Why So」の関係が成り立つ
        ③ 同一階層内が、横方向にMECEな関係にある

    (2) 縦方向の深堀や横方向のMECEは、相手が納得するレベルまでで良い
        なるべく論理はコンパクトな方が良く、闇雲に深堀や横に広げることが良いとは限らない

    (3) 論理のパターン
        ① 並列型
            ・根拠並列型:結論に対する根拠が並列に、MECEになっている論理構成。
            ・方法並列型:相手が結論を納得した上で、さらに一歩、課題を具体的に解決する段階の論理構成。
            ・適用ケースは以下の通り。
                ⅰ. 課題に対して十分な理解度や興味を期待できない相手に、全体像を簡潔に示したいとき。
                ⅱ. 決定事項の確認など、結論に関して議論の余地がない場合。
                ⅲ. 自分の思考や検討の広がりに、重複や漏れ、ずれがないことを強調して、相手を説得したいとき。

        ② 解説型
            ・事実、判断基準、判断内容の3つの要素が結論の根拠にとなる論理構造。
            ・注意点は以下の通り。
                ⅰ. 事実が正しいこと
                ⅱ. 判断基準が妥当であること
                ⅲ. 事実、判断基準、判断内容に一貫性があること
            ・適用ケースは以下の通り。
                ⅰ. 客観的な事実で共通認識を作り、自分の結論の妥当性を強調したいとき。
                ⅱ. 相手から意見や助言をもらいたいとき。
                ⅲ. 複数の代替案から、選択した代替案の妥当性を証明したいとき。